〖実務者向け〗海外輸入の関税計算方法|個人輸入と商業輸入の違いを税理士が解説

関税

関税は普段あまり馴染みのないものですが、海外ショッピングが好きな方なら必ず知っておきたい知識です。この記事では「個人輸入と商業輸入の違い」から「関税計算方法」まで、わかりやすく解説します!

個人輸入 vs 商業輸入の違い

個人輸入とは?

個人名義での少量輸入
同一商品2個まで(個人使用が前提)
※明らかに個人使用を超える場合は商業輸入とみなされます

個人輸入のメリット
CIF価格1万円以下なら免税
著作権商品も少量なら個人使用として輸入可能
主な配送方法:EMS、eパケット、e特快など郵便系

個人輸入のデメリット
輸入許可書が発行されないため、転売時の消費税控除不可

商業輸入とは?

企業が販売目的で行う輸入のこと。
「会社名義での輸入=商業輸入」と思われがちですが、実は輸入目的が重要です。

商業輸入のメリット
輸入許可書が発行され、消費税控除可能(※詳細は別途ご確認ください)
数量制限なし

商業輸入のデメリット
・申告金額に関わらず、課税対象なら必ず納税必要
※「今まで税金請求されなかった」という場合、実際は数円~数十円の税金を物流会社が負担しているケースがほとんどです(徴収コストを考慮)

注意)個人輸入か商業輸入かは「配送先」ではなく「通関チャネル」で判断されます。
例:OCS、流通王、佐川=商業チャネル/郵便EMS=個人輸入

関税の内訳と計算方法

支払う税金=関税+消費税+地方消費税+手数料(商業輸入のみ)

  1. 関税税率
    関税=CIF価格×税率
    HSコード別税率表(中国RCEP適用):
    https://www.kanzei.or.jp/statistical/tariff/headline/hs1dig/j#hs1dig01
    ※HSコード未指定の場合は通関業者が判断
  2. 消費税:(関税+CIF価格)×7.8%
  3. 地方消費税:消費税額×22/78
  4. 手数料について
    商業輸入の場合、物流会社が立替えた税金に対して手数料が発生します。
    <主要業者の手数料>
    OCS:立替金額の2% または 1,650円(高い方)
    流通王:立替金額の5.5%

具体計算一例(B2C:申告価格の60%評価)

  1. 申告金額:935.8USD
    関税率:6.5%
    為替レート:144.32
  2. CIF価格:
    935.8USD×60%=400.95USD
    →400.95×144.32=57,865円
  3. 関税:
    57,000円×6.5%=3,700円(端数切り捨て)
  4. 消費税:
    (57,865+3,700)=61,000円→61,000×0.078=4,700円(端数切り捨て)
  5. 地方消費税:
    4,700×22/78=1,300円(端数切り捨て)
  6. 手数料
    OCS:1650円 流通王:534円

お支払い金額 = 3,700+4,700+1,300手数料

手数料を節約する方法

関税引落口座を開設し物流会社に登録
→税金は口座から自動引き落とし(立替不要)

郵便系(EMS等)を利用
※個人輸入の場合は納税義務が受取人にあるため手数料発生なし

※注意:制度改正により内容が変更される可能性があります。最新情報は関連機関でご確認ください。